スタッフ紹介
舞台ができるまで

脚本・台本(門馬 泰子)
今回の主役の黒上さんは、入団当時ほとんどしゃべらず.ダンスこそリズミカルに踊っていたが、せりふの声はほとんど聞こえなかった。公演を重ねる度に、いつのまにか声が大きくなり感情をこめてセリフを言うようになった。芯の強い一面と、切なさや嬉しさの表現を、彼女の持ち味として生かせる舞台にしたい。そう思いながら台本を進めた。寒くなると体調を崩しやすい彼女だが、今年は気合を入れて体調管理に努め休まず練習に励んでいる。
あらすじは昨年3月にできていた。が、緊急事態宣言下での活動休止と共に、脚本作りもストップしてしまった。いったんは来年の春に延期を考えた第29回定期公演を、年末ぎりぎりに延期して行うことが9月に決まり、それからのせりふ起こしだった。いつものように少しずつ進めていくという余裕はなく、10月の練習再開と同時に完成版を渡さなければならない、と分かってはいた。が、結局は3分の1、2、と三段階を踏むことになってしまった。延期されてい
た職場の行事も9月以降はめじろ押しで、自分が中心に進めるものも複数あり窮地に陥ってしまった。毎年こりもせずに十分予想される最悪の状況を招く私にとって、強い意志で原画を一週間で仕上げるという藤尾氏は神様である。
台本の遅れは、団員はもちろん保護者、スタッフにも多大な迷惑をかける。しかし、待ってました!と台本を受け取った後の役者達のやる気と集中力はすごい。お互い競うようにセリフを覚えてくる。とはいっても圧倒的に練習期間は短く、いつもに増してハプニング満載の舞台になると思われる。これまでのように、きっと舞台上で助け合って乗り切ってくれると信じたい。
感染症の影響で来年はまだ県外公演の計画は立てられず、かといって定期公演1回きりで終わるにはもったいない。2022年第30回定期公演は、道具や内容共に今回の演目をさらにバージョンアップさせ、演技にも磨きをかけて再演する予定である。

道具(佐田 こずえ)
昨年は道具作りがなく、2年ぶりに道具作りの再開で“今までどうやって作ってきたかな?”と若干戸惑いながらの始まりだった。
取り掛かりも遅かったので休日はたっぷり道具作りに時間を使い、道具がだんだんと出来上がっていぐ楽しさを感じながら絵の具まみれになり、段ボールを切っていった。
今年は、料理の場面や食堂での場面が多いので、いろいろな献立を作らせてもらった。イセエビは、どの方向にするとそれらしく見えるのか?壊れにくくなるのか?何度もやり直した。インド料理は、ネットで検索し参考にした。出来上がった段ボールの作品の上から保護者に白い紙を貼ってもらうのだが、細い足が何本もあるイセエビや何枚も重なった付け合わせのサラダの葉っぱにかなり苦戦したようだ。保護者の皆さんと共に作つた道具の数々が、団員たちのお芝居を、より楽しくしてくれるものと思っている。

演出(神田 美栄子)
限られた練習回数の中で効率よく仕上げていかなくてはいけない。
最優先して作ったのが、集合ダンス。これは、全員が早く覚えて劇に向かう一体感をつくるためにも大事な踊り。音響担当からの提案の曲でキレ?のいい動きで、楽しくみんなで踊れる振付けを考えた。海賊の踊りも早々に曲を決めて振付けを考えたが、踊れば踊るほど何か違う。何度も練習したが、納得がいかず急に曲と動きを変更!しかし、海賊たちは慌てることなぐそれぞれ自信を持って取り組むことができた。これも積み上げてきた団員の力と役への責任感だろうか。
いつものように役に応じた振付けをすると、団員たちはリズ厶に乗って踊りながらテンポよくセリフも覚えていく。そして、劇を進めていくうちに役に必要な道具が次々と出てくる。段ボールを使って次の練習までに作り上げないと間に合わない。公演まで時間がない。焦る気持ちが、逆に頭の中を整理させた。道具を作り出すと時間を忘れ、夜なべ?をして大物道具作りにチャレンジした。歳のわりにはまだ集中力が残っているものだと自慢する自分がいた。

音響(島田 かよ子)
前回の話の音楽を探していた時に気になった曲があって、料理のシーンがあれば使いたいと思っていた。そして今回が料理人の話。使える!と思って「オープニングの曲にどう?」と聞くと「いいんじゃない。」ということで採用されたのでちょっと喜んでいる。アレンジの違う同じ曲を、リリーとキッチンスタッフが料理を作るダンスで使っているが、4人の雰囲気に音楽が合っていて、最後の音が「できましたよ、どうぞ召し上がれ〜。」
という感じになっていると私は思っていて、「いいんじゃない?!」と自画自賛。今回、神田の声の出演はない。もしかして楽しみにしていた人がいたらごめんなさい。

舞台美術(背景画・ポスターの原画)
(藤尾 修二)
いつもわくわくしてチャンチャンの話を待っている。みんなに喜んでもらえる絵ができるかどうか不安なのだが、それ以上のわくわく感がある。新しいものを描く作業は、自分にある未知なものを見つけ、掘り起こしてくれるからだ。
毎回、話をもらってから勝手に空想で何枚かの背景画に仕上げる。個展と県展出品に挟まれた7月。自分は背景の3場面とチラシの原画を一週間で仕上げることに決めている。まず3日間で、今回は地中海沿岸の風景やヨーロッパの昔の美容室やブティック、人物、服装、多国籍レストランから日本の居酒屋まで…あらすじを元に調べ尽くす。そして、いつたん自分の中で消化してからチヤンチヤンの舞台に合うようにアレンジする。あらすじと調べたことを元に勝手に想像して風景や店舗を描き、登場するネコ達もその中に描きこんでみる。自由で一番楽しい時間だ。あれこれデッサンを楽しんだ後に構想をしぼり、残りの4日間で絵を仕上げる。1日1場面X3日とチラシに1日で計4日。1日24時間をフルに使う感覚で一気に仕上げる。自分の考えたイメージの世界が舞台で立ち上がり、役者がその中に違和感なく溶け込み演じる姿に安堵し、感動する。















■ご紹介■•県展(岩田屋賞、ユネスコ賞、 奨励賞等) •日仏現代美術展(FBS賞) •谷尾美術展(特別奨励賞2回) 他

衣装 (奥 恵美子)
予定の12月初旬の公演はとても無理、来年に延期と思っていた緊急事態宣言明けの10月。延期とは言っても年内に公演するという。え?今から?!どこから衣装のイメージを浮かばせたらいいのか?とりあえずあらすじとキャストだけで漠然とイメージを浮かべたものの、実際の練習を見てそれが壊れ、新たに別のイメージを浮かべては次の練習でまた壊れ…の繰り返し。せっぱ詰まってやっとぴったりのイメージが浮かび、それから製作にとりかかった。
綱渡りの衣装作りだが、みんなが喜んでくれる衣装ができあがればそれでこそチャンチャン。「あれもあった、これもあった。」と、過去の舞台を懐かしく思い浮かべながら今までの衣装も再利用して何とかのりきりつつある。小物を含めた全体のコーデネイトを若い須崎さんがやってくれて、本当に助かったしこれからも安心だ。そして、最後の仕上げはもちろん保護者全員の愛に任せている。
練習
昨年から、チヤンチヤン独自の健康チェック表を提出して練習に参加。壁ぎわの距離を保った椅子に座って静かに出番を待つ練習スタイルもすっかり定着した。全員マスクをしたまま、出番になると張り切って演技をする。緊急事態制限下の活動休止を挟んで、練習への意欲と集中力は増したように思う。音楽が徐々に増え、踊りや動きも増えると更に楽しく活気づく。
練習に遅れがちなスタッフに代わり、舞台担当の保護者3名(草野、石永、鶴崎)が、きっちりと道具の出し入れや役者の出番の誘導をしてくれて、本当に助かっている。11月になると、金曜夜の練習に加えて、それまで2部パフォーマンスの練習をしていた土曜の午前中にも劇の練習をする。単純なストーリーに奥行きを与えてくれるナレーションの喜多智子、舞台ソデのかなめ、佐藤裕子の大先輩二人が'カロわると、ぐっと練習もしまってくる。
応援団
●背景画作成
7月最後の土日、今年もスタッフ4名に力強い応援団7名が集まってくれた。藤尾修二氏の温かく楽しい原画が今回は3場面。合計ベニヤ板48枚分のパネルに忠実に拡大して描く。丸2日間、朝から夕方まで黙々と描き、腰痛と筋肉痛で翌日は悲鳴をあげることに
なる。パネルは、毎年新星社さんが21トラック2台で運んでくださる。新星社のお二人に、団員の兄の須崎凛之介さんも運搬を手伝ってくれて、スタッフの高齢女子?4名にはとてもありがたかった。
●本番
ドタバタのしろうと劇団を、何とかまとめてきちっと舞台で締めてくれるのが、20年来チャンチャンの定期公演をお願いしている山口市の「やの舞台美術」、舞台監督の河村高志さんと、照明の吉岡志乃さんである。いつもなら11月にスタッフが台本を持って打ち合わせに行く。しかし今回は、予定していた12月初旬の土日を延期したので、会場が空いていたのは28日の大ホール1日限り。前日の準備やリハーサルもできないため、短い時間で確実に舞台を作り上げなければいけない。場面ごとの雰囲気や役者の動きを確認したいと、金曜夜の練習を見学しに、山口から二人で来てくれた。
舞台準備から本番、片付けまで、舞台の裏をとりしきる。さすがプロである。
そして、受付けや会場整理、搬出入のトラック手配、舞台以外の様々な仕事を保護者が見事な連携プレーでやってのける。各地の公演でも同じだ。最近ますます洗練されて、毎回同じミスを繰り返すスタッフは、保護者の動きを仰ぎ見ている。
本番が無事(?)に終了すると、オヤジーズ&ブラザーズの出番である。大道具の解体と撤収から搬出作業まで、大活躍してくれる。